2026年10月16日、文化審議会は、杜氏の農口尚彦(のぐち なおひこ)さん(93歳)を、重要無形文化財「吟醸造り」の保持者(いわゆる人間国宝)に認定するよう、文部科学大臣に答申しました。日本酒の杜氏が人間国宝になるのは初めてで、料理人・華道家とともに、生活文化の分野での初めての認定です。
農口さんは、16歳で酒造りの世界に入り、杜氏を60年以上務めてきました。全国新酒鑑評会では、連続11回を含む通算26回の金賞を受賞しています。この記事では、答申の内容、農口さんの歩み、「吟醸造り」とは何か、そして農口尚彦研究所の日本酒を整理します。
※この記事は、文化審議会の答申を伝える報道と、農口尚彦研究所の発表(2026年10月19日)などをもとにした、2026年10月28日時点の解説です。
▲ 酒造りの季節を迎える蔵(イメージイラスト)
まず押さえたい、3つのポイント
① 杜氏として初の人間国宝
農口尚彦さんは、日本酒の杜氏として初めて、重要無形文化財の保持者に認定されることになりました。人間国宝は、今回の認定で111人になると報じられています(時事通信)。
② 対象は「吟醸造り」という酒造りの技術
吟醸造りは、手間と原料を惜しまず、味と香りを追求する酒造りの技術です。今回、制度の見直しで新たに加わった「生活文化」の部で、初めて指定されました。
③ 農口尚彦研究所の日本酒は、手に入る
石川県小松市の農口尚彦研究所が造る日本酒は、楽天市場などの酒販店で購入できます(無濾過生原酒が中心で、要冷蔵)。
見どころ①:今回の答申の内容
文化審議会は、2026年10月16日に、次の3件を重要無形文化財に新たに指定し、3人を保持者に認定するよう、文部科学大臣に答申しました。3件とも、「生活文化」の部での指定・認定で、これまでの重要無形文化財にはなかった分野です。
| 指定される文化財 | 分野 | 保持者 | 肩書き |
|---|---|---|---|
| 立花(りっか) | 華道 | 池坊専永さん(93歳) | 華道家元池坊の四十五世家元 |
| 吟醸造り | 日本酒の酒造りの技術 | 農口尚彦さん(93歳) | 杜氏。農口尚彦研究所(石川県小松市)で杜氏を務める |
| 京料理(会席) | 日本料理 | 髙橋英一さん(87歳) | 京料理の「瓢亭」の代表取締役会長 |
「生活文化」は、暮らしの中で受け継がれてきた文化の技能の継承を後押しするため、文化審議会が2025年10月に、対象に加えるよう答申していたものです。
📌 手続きについて
報道されているのは、文化審議会から文部科学大臣への「答申」までです。正式な指定・認定の時期は、報道では確認できませんでした。農口尚彦研究所は、2026年10月19日付の発表で、保持者に認定されたと伝えています。
見どころ②:農口尚彦さんの歩み
農口さんは、1932年(昭和7年)に生まれ、杜氏の家の三代目として、16歳で酒造りの道に入りました。1961年、20代で杜氏となり、以来60年以上、酒造りの現場に立ち続けています。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1932年 | 石川県珠洲郡木郎村(現・能登町)に生まれる。杜氏の家の三代目 |
| 16歳 | 酒造りの世界に入る |
| 1961年 | 20代で杜氏となる。菊姫合資会社で、1998年まで杜氏を務める |
| 1967年 | 全国新酒鑑評会で、初めて金賞を受賞 |
| 1970年代 | 当時は鑑評会向けだった吟醸酒を、一般の市場に広める。衰退していた山廃仕込みを、現代に受け継ぐ |
| 2006年 | 「現代の名工」に選ばれる |
| 2008年 | 黄綬褒章を受章 |
| 2017年 | 石川県小松市に、農口尚彦研究所を設立 |
| 2018年 | ANA国際線の機内提供酒に採用(現在も継続) |
| 2023年 | 文化庁長官表彰を受ける |
| 2024年 | 「いしかわの食の巨匠」に選ばれる |
| 2026年 | 石川県指定無形文化財「日本酒杜氏」の保持者に。10月16日、文化審議会が、重要無形文化財「吟醸造り」の保持者に認定するよう答申 |
※出典:農口尚彦研究所の発表(2026年10月19日)。経歴の細部は、資料によって表記が異なる場合があります。
農口さんは、1970年代には、鑑評会に出品するための酒だった吟醸酒を、一般の市場に広めた杜氏の一人とされています。時事通信は、1970年代半ば以降の吟醸酒ブームをけん引し、後進の育成にも力を尽くして、多くの杜氏を輩出したと伝えています。
本人のコメント
農口尚彦研究所の発表では、農口さんは今回の認定を「一つの節目」と受け止めています。「私は、日本酒をもっともっと“世界の酒”にしていきたいんです」「もっと旨い酒を造る。その姿勢は、今後も変わりません」と話しています。
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文化審議会の答申では、吟醸造りは「手間と原料を惜しまず、味と香りを追求する日本酒の酒造りの技術」と説明されています。米を高度に磨くこと(精米)が酒質に大きく影響すると分かり、近代以降の精米機の発達とともに、技術が確立してきました。
- 吟醸酒(ぎんじょうしゅ):精米歩合(米を削って残す割合)が60%以下の米を、低い温度でじっくり発酵させて造る日本酒。華やかな香りが特徴とされ、精米歩合50%以下の場合は「大吟醸」と呼ばれます。
- 山廃仕込み(やまはいじこみ):酒母(酒の元になる、酵母を育てた液)を造るときに、自然界の乳酸菌を取り込んで造る、伝統的な製法。農口さんは、衰退していたこの技術を現代に受け継いだとされています。
- 全国新酒鑑評会:酒類総合研究所と日本酒造組合中央会が主催する、新酒の品評会。農口さんは、通算26回の金賞(連続11回を含む)を受賞しています。
2024年12月には、日本の「伝統的酒造り」が、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。今回の「吟醸造り」の認定は、日本酒の酒造りが、世界と国内の両方で、文化として評価される流れの中にあります。
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農口尚彦研究所は、2017年に、石川県小松市で設立された酒蔵です。農口さんの技術と考え方を、次の世代に受け継ぐために設立されました。
- 記録とデータで酒造りを受け継ぐ:農口さんが長年記録してきた酒造りの記録を、現代の発酵のデータと照らし合わせて、分析しています。
- 蔵人の育成:酒造りに携わる人(蔵人)を育てることにも、力を入れています。
- 低温での貯蔵・熟成:低い温度で貯蔵して熟成させ、お酒に時間を与えるという考え方を取り入れています。
- 世界で飲まれている:日本酒は30以上の国と地域で楽しまれ、2018年からANA国際線の機内提供酒に採用されています。
※出典:農口尚彦研究所の発表(2026年10月19日)、報道。
見どころ⑤:農口尚彦研究所の日本酒、どれを選ぶ?
楽天市場の酒販店で販売されている、農口尚彦研究所の日本酒の例です。いずれも「無濾過生原酒」で、商品ページに「クール便」「要冷蔵」の表記があるものが多く、冷蔵での保管が必要です。
| 商品 | 容量 | 販売店価格の例(税込) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 本醸造 無濾過生原酒 | 720ml | 2,640円 | ラインナップの中では手頃な価格帯。本醸造酒は、精米歩合70%以下の米に、少量の醸造アルコールを加えた日本酒 |
| 純米 無濾過生原酒 | 720ml | 2,970円 | 米と米麹と水だけで造る純米酒。無濾過生原酒の入門に |
| 純米大吟醸 無濾過生原酒 | 720ml | 8,800円 | 精米歩合50%以下の純米大吟醸。特別な日の1本に |
| 山廃美山錦 無濾過生原酒 | 720ml | 5,500円 | 山廃仕込みと、酒米の美山錦を使った1本 |
| 山廃愛山 無濾過生原酒 | 720ml | 5,500円 | 山廃仕込みと、酒米の愛山を使った1本 |
※2026年10月28日時点の、楽天市場の販売店の価格の一例です。価格・在庫・ロットは販売店によって異なり、変わる可能性があります。購入前に商品ページで、保管方法や最新の価格をご確認ください。
選び方の目安
- はじめて飲むなら:720mlの本醸造か純米から。手が届きやすい価格帯で、農口尚彦研究所の酒を試せます。
- 特別な日の贈り物なら:純米大吟醸。生原酒なので、クール便で届く販売店を選びましょう。
- 山廃の酒を知りたいなら:山廃仕込みの1本。農口さんが受け継いだ技術を、味わう入り口になります。
- 保管と飲み方:無濾過生原酒は、冷蔵庫で保管し、開栓後は早めに飲み切りましょう。
農口尚彦研究所の日本酒、購入できるおすすめ4本
※価格・在庫は販売店によって変わるため、購入前に商品ページで最新の情報をご確認ください。
農口尚彦さん・人間国宝のよくある質問
Q1. 農口尚彦さんは、いつ人間国宝になりますか?
2026年10月16日、文化審議会が、農口尚彦さんを重要無形文化財「吟醸造り」の保持者(いわゆる人間国宝)に認定するよう、文部科学大臣に答申しました。報道では「人間国宝に」と伝えられていますが、文部科学大臣による正式な指定・認定の時期は、確認できていません。
Q2. 人間国宝とは何ですか?
重要無形文化財の「保持者」として国から認定された人の通称です。今回の認定で、人間国宝は111人になると時事通信が報じています。
Q3. 日本酒の杜氏が人間国宝になるのは初めてですか?
はい。杜氏として初の人間国宝で、料理人や華道家とともに、生活文化の分野での初めての認定です。文化審議会は2025年10月に、重要無形文化財の制度を見直し、生活文化を対象に加えるよう答申していました。
Q4. 「吟醸造り」とは、どんな技術ですか?
手間と原料を惜しまず、味と香りを追求する日本酒の酒造りの技術です。精米が酒質に大きく影響することが分かり、近代以降の精米機の発達を経て、確立してきたとされています。
Q5. 農口尚彦さんは、どんな経歴の杜氏ですか?
1932年に石川県珠洲郡木郎村(現・能登町)で生まれ、16歳で酒造りの世界に入りました。1961年に杜氏となり、全国新酒鑑評会では、連続11回を含む通算26回の金賞を受賞しています(農口尚彦研究所の発表)。
Q6. 農口尚彦研究所とは、どんな酒蔵ですか?
2017年に、石川県小松市で設立された酒蔵です。農口さんの技術と考え方を受け継ぐために設立され、長年の酒造りの記録を現代のデータと照らし合わせて分析し、蔵人を育てています。日本酒は30以上の国と地域で楽しまれ、2018年からANA国際線の機内提供酒に採用されています。
Q7. 農口尚彦研究所の日本酒は、どこで買えますか?
楽天市場などの酒販店で、本醸造や純米、純米大吟醸などの無濾過生原酒が販売されています。生原酒は、商品ページに「クール便」「要冷蔵」と書かれていることが多いので、保管方法を確認して購入してください。価格は販売店によって異なります。
Q8. 山廃仕込みとは何ですか?
酒母(酒の元になる、酵母を育てた液)を造る伝統的な製法の一つで、自然界の乳酸菌を取り込んで造ります。農口さんは、衰退していた山廃仕込みの技術を現代に受け継いだ杜氏とされています。
参考・出典
まとめ:酒造りが、文化として認められた日
2026年10月16日、杜氏の農口尚彦さん(93歳)の「吟醸造り」が、重要無形文化財に指定されるよう答申されました。日本酒の杜氏として初の人間国宝で、生活文化の分野でも初めての認定です。16歳で酒造りを始め、金賞を通算26回受賞した農口さんは、「もっと旨い酒を造る。その姿勢は、今後も変わりません」と話しています。
農口尚彦研究所の日本酒は、楽天市場などの酒販店で購入できます。無濾過生原酒は冷蔵での保管が必要なので、保管方法を確認して、気になる1本から試してみてください。



