朝晩が冷え込む10月は、日本酒を燗で楽しみたくなる季節です。2026年8月に開かれた「全国燗酒コンテスト2026」では、全国227社から971点が出品され、最高金賞に選ばれたのは51点、出品全体の約5%でした。
この記事では、コンテストの公式結果をもとに、燗酒の温度の呼び名、結果から見えてくる選び方、家での燗のつけ方、そして最高金賞のなかから手に入れやすい4本をご紹介します。燗は冷酒の代わりではなく、お酒ごとにいちばんおいしい温度を探す楽しみ方。その入り口になれば幸いです。
▲ 冷え込む秋の夜は、お燗で一杯
そもそも「全国燗酒コンテスト」とは?
全国燗酒コンテストは、「燗にして美味しい日本酒」を選ぶコンテストです。冷やして飲むことを前提にした評価ではなく、実際に燗をつけた状態で審査するのが特徴です。
① 第18回、全国227社の971点が出品
2026年8月4日、東京・墨田区のすみだ産業会館サンライズホールで審査が行われました。主催は全国燗酒コンテスト実行委員会。審査員は54名で、ブラインドで審査されます。
② 温度と価格帯で7部門に分けて審査
ぬる燗(42〜45℃)と熱燗(50〜55℃)を分け、さらに価格帯で「お値打ち」「極上お値打ち」「プレミアム」に区分。そのほか、にごり酒部門と、常温貯蔵3年以上の古酒部門があります。
③ 最高金賞51点、金賞251点、推奨186点
出品971点のうち、最高金賞は約5%。受賞した蔵は全国26都府県に広がっています。
見どころ①:燗の温度と呼び名を知る
燗には、5℃刻みで名前がついています。同じお酒でも温度によって、香りや味の出方が変わります。
| 呼び名 | 温度の目安 | 味わいの傾向 |
|---|---|---|
| 日向燗(ひなたかん) | 約30℃ | ほんのりと香りが引き立ち、なめらかな味わい |
| 人肌燗(ひとはだかん) | 約35℃ | 米や米麹の香りが引き立ち、やわらかな味わい |
| ぬる燗 | 約40℃ | 旨味にふくらみが生まれ、豊かな香りが感じられる |
| 上燗(じょうかん) | 約45℃ | 湯気とともに香りが立ち、後味のキレが楽しめる |
| 熱燗 | 約50℃ | 香りも味もシャープになり、キレのよい味わい |
| 飛び切り燗 | 55℃以上 | 酸味や辛さがより強く感じられる |
※呼び名と温度は目安で、資料によって少し幅があります。全国燗酒コンテストの審査温度は、ぬる燗部門が42〜45℃、熱燗部門が50〜55℃です。
見どころ②:結果から見えてくる、燗酒の選び方
- 手頃な価格でも最高金賞に:お値打ちぬる燗・お値打ち熱燗の2部門は、720mlで1,350円(税別)以下、または1.8Lで2,700円(税別)以下が対象です(価格は2026年6月1日時点の本体価格)。この2部門だけで21点が最高金賞に選ばれました。
- 種類は本醸造から純米大吟醸まで幅広い:最高金賞には「本醸造」「特別本醸造」「純米酒」「純米吟醸」「純米大吟醸」「大吟醸」が並びます。燗は特定の種類だけのものではありません。
- 全国26都府県の蔵が受賞:東北の宮城・山形、関東の埼玉、甲信越の新潟、東海の静岡、近畿の兵庫、中国・四国の広島・愛媛など、産地は全国に広がっています。
- 2銘柄が最高金賞の蔵も:新澤醸造店(宮城)、越後桜酒造(新潟)、酒六酒造(愛媛)、中勇酒造店(宮城)、晴雲酒造(埼玉)、松緑酒造(青森)の6蔵が、それぞれ2銘柄で最高金賞を受賞しました。
新澤醸造店は、世界的なコンクールでも評価されています
▶ 【速報】IWC2026「チャンピオン・サケ」決定!山口・長州酒造「天美 蛍天」が世界一に見どころ③:最高金賞51点の全リスト
公式発表の最高金賞を、部門ごとにまとめました(順不同。蔵元名の「株式会社」を省くなど、一部表記を整理しています)。ご自身の予算や好みの温度帯から探してみてください。
お値打ちぬる燗部門(10点)
42〜45℃/720mlで1,350円(税別)以下
- 純米酒七福神(菊の司酒造/岩手県)
- あたごのまつ 鮮烈辛口(新澤醸造店/宮城県)
- 菊水の淡麗甘口(菊水酒造/新潟県)
- 大吟醸 越後桜(越後桜酒造/新潟県)
- 特撰純米酒 越後桜(越後桜酒造/新潟県)
- 本醸造 出世城葵御紋(浜松酒造/静岡県)
- 臥龍梅 純米酒 浮世絵柄(三和酒造/静岡県)
- のものも(大関/兵庫県)
- 春鹿 桜ラベル 純米酒(今西清兵衛商店/奈良県)
- 京ひな 女のひとりごと 吟醸(酒六酒造/愛媛県)
お値打ち熱燗部門(11点)
50〜55℃/720mlで1,350円(税別)以下
- 一ノ蔵 四段仕込特別純米酒(一ノ蔵/宮城県)
- からくち 浦霞(佐浦/宮城県)
- 爛漫 本醸造(秋田銘醸/秋田県)
- 澤乃井 奥多摩湧水仕込(小澤酒造/東京都)
- 春鶯囀 本醸造(萬屋醸造店/山梨県)
- 月波の波(白馬錦酒造/長野県)
- 御代櫻 褒紋(御代桜醸造/岐阜県)
- 初亀 急冷美酒(初亀醸造/静岡県)
- 英勲 本醸造(齊藤酒造/京都府)
- 新雪(小西酒造/兵庫県)
- 上撰 白鶴(白鶴酒造/兵庫県)
極上お値打ちぬる燗部門(13点)
42〜45℃/720mlで1,351〜3,000円(税別)
- 天上夢幻 冷卸 純米吟醸(中勇酒造店/宮城県)
- 出羽桜 純米酒 出羽の里(出羽桜酒造/山形県)
- 羽陽錦爛 純米大吟醸 雪女神40(錦爛酒造/山形県)
- 開華 純米酒 KAIKA80(第一酒造/栃木県)
- 純米大吟醸 善祥(晴雲酒造/埼玉県)
- 直実 吟醸(権田酒造/埼玉県)
- 雪中梅 特別本醸造(丸山酒造場/新潟県)
- 甚 -Jin-(小堀酒造店/石川県)
- 蓬莱 自然発酵蔵 特別純米(渡辺酒造店/岐阜県)
- 作 穂乃智(清水清三郎商店/三重県)
- 環日本海 山廃純米やさか仙人(日本海酒造/島根県)
- 賀茂泉 純米吟醸 山吹色の酒(賀茂泉酒造/広島県)
- 京ひな 内子座 純米吟醸(酒六酒造/愛媛県)
極上お値打ち熱燗部門(9点)
50〜55℃/720mlで1,351〜3,000円(税別)
- 天賞 特別純米(中勇酒造店/宮城県)
- 大山 特別純米酒 十水(加藤嘉八郎酒造/山形県)
- 純米吟醸 晴雲(晴雲酒造/埼玉県)
- セトイチ 風が吹いたら(瀬戸酒造店/神奈川県)
- 越乃雪椿 雄町ST 純米吟醸(雪椿酒造/新潟県)
- 雪解 純米吟醸(御殿場石川酒造/静岡県)
- 純米大吟醸 幻々(山崎合資会社/愛知県)
- 紀土 純米吟醸(平和酒造/和歌山県)
- 綾菊 特別純米 国重(綾菊酒造/香川県)
プレミアム燗酒部門(4点)
42〜45℃/720mlで3,001円(税別)以上
- 六根 純米大吟醸 山田錦(松緑酒造/青森県)
- 高清水 加温熟成解脱酒(秋田酒類製造/秋田県)
- Dayflower(武重本家酒造/長野県)
- 純米吟醸 太平洋(尾崎酒造/和歌山県)
にごり酒部門(2点)
42〜45℃/価格制限なし
- 六根 純米吟醸 嬋娟(松緑酒造/青森県)
- 伯楽星 純米大吟醸 雪華 おりがらみ生酒(新澤醸造店/宮城県)
古酒部門(2点)
42〜45℃/常温貯蔵3年以上
- 手間暇 大吟醸 長期熟成 五年古酒(六歌仙/山形県)
- Eisen Mellow 03 純米大吟醸 3年熟成酒(天鏡/福島県)
見どころ④:家で燗をつける方法
特別な道具がなくても、燗は家で手軽につけられます。
湯煎(いちばん温度を調整しやすい方法)
鍋で湯を沸かして火を止め、酒を入れた徳利を浸します。温度計があれば、人肌燗なら約35℃、ぬる燗なら約40℃、熱燗なら約50℃を目安に、徳利を引き上げるタイミングを決めます。
電子レンジ(手早く温めたいとき)
耐熱の容器に酒を入れ、電子レンジで温めます。日本酒造組合中央会では、1合あたり約45秒〜1分が目安とされています。機種や容器で差が出るため、まず短めに加熱し、取り出してかき混ぜて温度を均一にしてから、足りなければ10〜20秒ずつ追加してください。加熱しすぎると吹きこぼれることがあるので注意が必要です。
迷ったら、まずはぬる燗(約40℃)から。そこから5℃ずつ上げ下げして、お気に入りの温度を探してみてください。
見どころ⑤:最高金賞受賞酒から選ぶ、おすすめ4本
最高金賞のなかから、ネットで手に入りやすい4本を選びました。
※商品のロットや造りの時期は、コンテスト出品時と異なる場合があります。
燗酒を試せる場所:酒まつりジャパン2026秋
2026年10月9日(金)〜12日(月・祝)、東京・御徒町の「おかちまちパンダ広場」で開催される日本酒フェス「酒まつりジャパン2026秋」では、初出展の諏訪酒造(鳥取)が、5種類を常温や燗で提供するとしています(公式サイトより)。入場は無料ですが、利き酒はチケット制(有料)です。
開催概要・出展蔵の詳細はこちら
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Q1. 燗酒に向いている日本酒の種類はありますか?
純米酒や本醸造酒、生もと・山廃などが燗向きとされることが多いですが、一概には決められません。全国燗酒コンテスト2026の最高金賞51点には、本醸造から純米大吟醸、大吟醸まで幅広い種類が入っています。蔵が「燗がおすすめ」と表示している銘柄から試すのが確実です。
Q2. ぬる燗と熱燗は何度くらいですか?
一般的な呼び方の目安は、ぬる燗が約40℃、熱燗が約50℃です。全国燗酒コンテスト2026の審査では、ぬる燗を42〜45℃、熱燗を50〜55℃で審査しており、呼び名の目安と少し幅が異なります。迷ったら、旨味がふくらみやすいぬる燗から試してみてください。
Q3. 全国燗酒コンテストとはどんなコンテストですか?
燗にして美味しい日本酒を選ぶコンテストで、全国燗酒コンテスト実行委員会が主催しています。第18回となる2026年は8月4日に東京・墨田区のすみだ産業会館サンライズホールで審査が行われ、全国227社の971点が出品されました。
Q4. 2026年の最高金賞は何点ですか?
最高金賞は51点、金賞は251点、推奨は186点でした。最高金賞は出品971点のうち約5%にあたります。最高金賞の内訳は、お値打ちぬる燗部門10点、お値打ち熱燗部門11点、極上お値打ちぬる燗部門13点、極上お値打ち熱燗部門9点、プレミアム燗酒部門4点、にごり酒部門2点、古酒部門2点です。
Q5. 家で燗をつける簡単な方法は?
湯煎か電子レンジで温めます。湯煎は、沸かした湯の火を止めて、酒を入れた徳利を浸します。電子レンジは、1合(180ml)で約45秒〜1分が目安ですが、機種によって差があるため、まず短めに加熱し、一度かき混ぜて温度を均一にしてから、10〜20秒ずつ様子を見て足してください。
Q6. 720mlで1,350円以下の手頃なお酒でも燗酒コンテストで評価されますか?
はい、評価されています。お値打ちぬる燗部門・お値打ち熱燗部門は、720mlで1,350円(税別)以下、または1.8Lで2,700円(税別)以下の銘柄が対象で、2026年はこの2部門だけで合計21点が最高金賞を受賞しました。
参考・出典
- 全国燗酒コンテスト 公式サイト(審査温度・部門・価格条件・結果)
- 日本酒造組合中央会|日本酒の飲み方(燗の呼び名・温め方)
- 酒まつりジャパン2026秋 公式サイト(開催概要・出展蔵・チケット)
まとめ:お燗は、酒に合わせて温度を選ぶ楽しみ
全国燗酒コンテスト2026の最高金賞は、971点のうち51点。手頃な価格の本醸造から、純米大吟醸まで、幅広い種類のお酒が選ばれました。燗は特定のお酒だけのものではなく、お酒ごとにいちばんおいしい温度があります。
迷ったら、ぬる燗(約40℃)から。気になる銘柄が見つかったら、まず1本、温度を変えながら楽しんでみてください。


