日本酒は、ただ米と水からできているわけではありません。その製造工程には、さまざまな発酵や微生物の働き、そして熟練の技術が深く関わっています。「日本酒 作り方」と検索したあなたも、日本酒がどのように生まれるのかを詳しく知りたいと考えているのではないでしょうか。
この記事では、日本酒の発酵方法のポイントとは何か、日本酒 作り方における酵母の役割と種類、乳酸菌の重要性といった微生物の働きを解説します。また、「日本酒ができるまで何日かかりますか?」という疑問にも答えながら、酒造りの全体像を丁寧に紹介していきます。
さらに、発酵を支える微生物の種類とは何か、精米歩合が与える味わいの違い、麹作りのポイントと工程、酒母作りと発酵の管理方法、そして醪(もろみ)作りの三段仕込みとはどのようなものかといった、日本酒造りの要点を初心者にもわかりやすくまとめました。
複雑に見える日本酒の世界も、工程ごとに整理すれば意外とシンプルに理解できます。これから日本酒の魅力を深く知っていきたい方に向けて、丁寧に解説していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
この記事でわかること
日本酒の作り方と各工程の意味が体系的に理解できる
酵母や乳酸菌など、発酵に関わる微生物の役割がわかる
精米歩合や発酵温度が味わいにどう影響するかが学べる
上槽・火入れ・貯蔵といった後工程の流れがわかる
日本酒が完成するまでにかかる期間と作業内容を把握できる
日本酒の作り方を工程ごとに学ぼう
日本酒 発酵方法のポイントとは?
日本酒の発酵方法は「並行複発酵」と呼ばれ、他のアルコール飲料と比べて独自の特徴を持っています。ビールやワインの発酵方法とは異なり、日本酒の発酵は「糖化」と「アルコール発酵」を同時に行うという点が大きなポイントです。

まず、日本酒造りには麹菌と酵母が欠かせません。麹菌はお米のでんぷんを糖に変える役割を持ち、その糖を酵母がアルコールと炭酸ガスに変えることで発酵が進みます。この糖化とアルコール発酵が同時に行われるため、並行複発酵と呼ばれるのです。これにより、発酵が複雑に絡み合うため、芳醇で深みのある味わいが生まれます。
発酵を円滑に進めるためには、温度管理が非常に重要です。特に日本酒の発酵は低温で長時間行われるため、発酵槽の温度を15℃前後に保つことで、すっきりとした風味が生まれやすくなります。発酵途中には「水泡期」「岩泡期」「落泡期」といった泡の変化が見られ、これを観察しながら発酵状況を判断するのが職人の腕の見せ所です。
ただし、発酵が強すぎるとアルコール感が強くなり、逆に発酵が不十分だと香りが乏しい酒質になるため、細心の注意が求められます。酵母の働きを活かしつつ、発酵の速度を調整することが、日本酒のクオリティを左右する大きなポイントです。
日本酒 作り方 酵母の役割と種類
日本酒の風味や香りを大きく左右するのが酵母の存在です。酵母は糖をアルコールと炭酸ガスに変える微生物で、日本酒造りには欠かせない要素です。特に香りの成分は酵母が作り出すため、どの酵母を使うかがその酒の個性を決定づけます。
日本酒に使われる酵母には、主に「協会系酵母」と「県産酵母」の2種類があります。協会系酵母は、日本醸造協会が管理し、多くの酒蔵で使用されています。例えば、協会9号酵母は「吟醸香」を出すことで知られ、バナナや青りんごのようなフルーティーな香りが特徴です。一方で、県産酵母は各都道府県の酒造組合などが独自に開発したもので、地域特有の風味を持つことが多いです。
酵母の種類によって生まれる香りが異なるため、酒蔵ごとにどの酵母を使うかは熟慮が必要です。例えば、フルーティーな香りを求める場合は1801酵母や14号酵母が使われ、香り控えめで旨味を重視する場合は6号酵母や7号酵母が選ばれます。
酵母名 | 特徴概要 | 使用傾向・酒蔵の声 |
|---|---|---|
6号(601号) | 穏やかな香りと軽快な味わい。低温でも強い発酵力。 | 新政、京の春などで使用。「旨すぎず、米の味わいが素直に出る」。「きっちり旨みをまとめる」との評価。 |
7号(701号) | 発酵力が強く、多彩な酸が出る。控えめな香りで食中酒に向く。 | 真澄、竹泉、風の森など。「ナチュラルな酸」「酸で酒の輪郭が保たれる」「山廃・生酛に向く」と信頼される。 |
9号(901号) | 華やかな吟醸香を生む。スタンダードで上品な香りとキレが出やすい。 | 香露、みむろ杉、大治郎、篠峯など。「キレのある酒に」「香りが派手すぎない」「オーセンティックな酵母」として使用。 |
10号(1001号) | 高い吟醸香を持つが、アルコール耐性が低く扱いが難しい。白ワインのような風味が出る。 | 笑四季などが使用。「きれいな甘みとほどよい酸」「“白ワインのよう”な酒に合う」として使用される。 |
11号 | アルコール耐性が高く、長期発酵に向く。辛口でキレの良い酒に。 | 秋鹿、篠峯など。「辛口でも味がしっかり出る」「軽やかに仕上げられる」として使用。 |
14号(1401号) | 果実のような爽やかな香り(マスカット系)。低温でも発酵力が強い。 | 金沢酵母として知られる。七本鎗、大治郎など。「初めて日本酒を飲む人にも好まれる香り」「バランスが良い」などの評価。 |
18号(1801号) | 華やかで甘い香り(カプロン酸系)が特徴。酸生成は控えめで、柔らかな味わい。鑑評会向け。 | 金賞受賞酒で多用。「香り系の代表格」「含み香と柔らかい味」が特徴。「好みは分かれるが、新酒の定番」とされる。 |
1501号 | 秋田流花酵母(AK-1)。リンゴや梨、パインのような甘酸っぱくみずみずしい香り。 | 秋田県酒造組合で開発。華やかでジューシーな酒質に仕上がる。 |
ただし、酵母は低温でゆっくり発酵させることで香りが立ちやすくなるため、温度管理も非常に重要です。発酵中に酵母が弱ってしまうとアルコール発酵が進まず、未完成の味わいになるため、職人たちは発酵槽の温度や酸素量を細かくチェックしています。
日本酒 作り方 乳酸菌の重要性
日本酒造りにおける乳酸菌の役割は、発酵過程を安定させることにあります。乳酸菌は酒母を作る際に活躍し、酵母が繁殖するための環境を整える役割を担っています。
乳酸菌が生成する乳酸は、醸造タンク内を酸性環境にし、雑菌の繁殖を防ぎます。これにより、発酵を担う酵母が安定的に増殖でき、発酵が円滑に進むのです。日本酒造りでは、特に「生酛系酒母」や「山廃系酒母」において乳酸菌が活躍します。これらの手法では、自然の乳酸菌が乳酸を生成するため、醸造期間が長くなる傾向がありますが、その分深みのある味わいが得られる点が魅力です。
一方で、速醸系酒母では市販の乳酸を直接添加し、短期間で酸性環境を整えます。これにより、短期間で品質の安定した日本酒を製造できるため、効率性が向上します。
乳酸菌の働きが弱いと、醸造タンク内で雑菌が繁殖し、発酵が失敗するリスクがあります。したがって、乳酸菌の活性を高めるためには温度管理が不可欠です。適切な酸性環境を保つことで、酵母が安定してアルコール発酵を行えるため、乳酸菌の活躍が日本酒の品質を支えていると言えます。
生酛と山廃についてもっとくわしく知りたい方はこちらの記事を見てみてください!

日本酒ができるまで何日かかりますか?
日本酒が完成するまでの期間は、原料処理から瓶詰めまでを含めて、約2ヶ月から4ヶ月が一般的です。特に生酛系や山廃系の酒母を用いる場合、さらに時間がかかることがあります。
まず、原料処理や精米には数日を要します。その後の麹作りには2~3日かかります。その後、酒母を育てるために10~14日が必要です。続いて、もろみを仕込み、発酵させる期間が3~4週間ほど続きます。発酵が終われば、搾り、火入れ、貯蔵を経て瓶詰めを行い、出荷準備を整えます。
特に長期熟成を必要とする大吟醸酒などでは、熟成期間を含め半年以上かかることもあります。逆に速醸系の日本酒であれば、短期間で商品化できるため、流通が早いのが特徴です。
日本酒作りは、季節や環境に大きく左右されるため、冬場に仕込む「寒仕込み」が一般的です。寒冷な環境でじっくり発酵させることで、すっきりとした味わいが生まれやすくなります。したがって、品質を重視する日本酒では時間をかけてじっくりと発酵させることが多いのです。
もっと詳しく:原料処理について
日本酒造りにおいて最初に行われるのが「原料処理」です。この工程では、玄米を精米し、洗って蒸すまでの一連の作業を丁寧に行い、以後の醸造工程に備えます。

まず玄米は、表層に多く含まれるたんぱく質や脂質、ビタミン類を除去するために精米されます。米を削ることで、雑味の原因となる成分を取り除き、澄んだ味わいの酒質が得られるようになります。ここで重要なのが「精米歩合」です。これは玄米をどれだけ削ったかを示す数値で、例えば精米歩合60%であれば、玄米の40%を削ったことを意味します。一般に、精米歩合が低いほど雑味が少なく、繊細な味わいになります。
精米を終えた米は、熱を帯びた状態のまま「枯らし」と呼ばれる工程に移ります。これは、数日から数週間にわたり米を静置することで水分と温度を均一にし、酒造りに適した状態にするためのものです。
続いて「洗米」が行われます。米の表面に付着した糠や微粒子を洗い流すこの工程は、微細な品質差が仕上がりに大きく影響するため、高精白米を使用する場合は特に繊細な作業が求められます。
洗米後には「浸漬(しんせき)」と呼ばれる工程があります。ここでの目的は、米に適切な量の水分を吸収させることです。浸漬時間は米の吸水速度に応じて秒単位で管理されることもあり、蔵人の経験と技が光る工程のひとつです。特に高精白米の場合、短時間で水を吸いすぎる傾向があるため、冷水を使って細かくコントロールされます。
水分を吸った米は次に「水切り」されます。これは、余分な水分を取り除き、蒸す際に均等に加熱されるようにするためです。水切りの精度が悪いと、蒸し加減にムラが出てしまい、麹や酒母の品質にも影響が及びます。
最後に「蒸し」の工程に進みます。ここで米は加熱されて、デンプンがアルファ化(糊化)します。これにより、麹菌や酵母が働きやすくなり、糖化・発酵が円滑に進む土台が整います。蒸し米は2つに分けられ、一部は「麹米」として麹菌をまぶされ、もう一部は「掛米」として仕込みや発酵に使われます。
発酵と微生物が決める日本酒の個性
製麹・酒母・醪造り
原料処理を終えた米は、いよいよ日本酒造りの中核を担う「製麹・酒母・醪造り」へと進みます。この工程は、酵素や酵母の力を借りて米を糖に変え、さらにアルコールへと発酵させる、日本酒ならではの重要なステップです。

まず「製麹(せいぎく)」では、蒸した米に「麹菌(こうじきん)」をふりかけて培養します。麹菌は米のデンプンをブドウ糖に分解する酵素を作り出し、のちのアルコール発酵の土台を築きます。この工程は約2日間かけて行われ、湿度や温度を繊細に管理しながら、しっかりとした「麹米」を完成させます。麹の品質は、日本酒の香りや味わいを左右する重要な要素です。
次に「酒母(しゅぼ)」、別名「もと」と呼ばれる工程に入ります。ここでは、麹米・蒸米・水・酵母を混ぜて、酵母の純粋な培養液を作ります。酒母は、日本酒の発酵をスタートさせる「種」のような存在で、雑菌に負けず健全に発酵するための強い酵母を育てることが目的です。この段階で乳酸菌の力を借りて、雑菌の繁殖を防ぐ酸性環境を作ることも重要です。酒母づくりには約2週間ほどかかります。
その後、酒母を基にして大量の米と水を加える「醪(もろみ)造り」に移ります。醪は、麹米・蒸米・水・酒母をタンクに仕込み、三段階に分けて材料を投入する「三段仕込み」という手法で発酵を進めます。具体的には「初添(はつぞえ)」「仲添(なかぞえ)」「留添(とめぞえ)」の順で3回に分けて仕込み、合計で3~4週間程度じっくりと発酵させます。
この醪造りの最大の特徴は、「並行複発酵」が行われることです。つまり、麹によって糖化された米のデンプンが、同時に酵母によってアルコール発酵されるという日本酒ならではの技術です。この並行複発酵により、アルコール度数を高く保ちながら、濃厚で複雑な味わいを実現することができます。
発酵が進むと、醪はぷくぷくと泡を立てながら熟成され、やがて「搾り(上槽)」の工程へと進みます。この段階でようやく「日本酒」としての姿が見え始めるのです。
上槽(搾り)から瓶詰めまでの流れ

日本酒造りの最終段階である「上槽(じょうそう)」から瓶詰めまでは、味わいや品質を決定づける重要な工程です。ここでは、発酵が完了したもろみを搾って酒と酒粕に分離し、瓶詰めまでの準備を整えます。
上槽とは、もろみを「搾る」ことを指します。発酵タンク内で仕込まれたもろみは、液体と固形物が混在しています。これを分離するため、伝統的な「槽(ふね)搾り」や「袋吊り」、現代的な「自動圧搾機」といった方法が使われます。特に「袋吊り」は、もろみを布袋に入れて自然に滴り落ちる酒を集める方法で、雑味のない繊細な味わいに仕上がるため、贈答用や高級酒に使われることが多いです。
一方、量産向けの酒では「自動圧搾機」による上槽が主流です。この方法では短時間で効率よく酒と酒粕を分けることができ、均一な品質を保ちやすいという利点があります。ただし、機械的な圧力が加わることで、繊細な風味が若干損なわれる場合もあるため、製品ごとの目的によって使い分けられています。
搾ったあとの酒には、まだ微細な固形物や酵母が残っているため、「濾過(ろか)」という工程を行い、酒をさらにクリアに整えます。この工程を経た後、瓶詰めの前に「火入れ」と呼ばれる加熱殺菌処理を行う場合がほとんどです。そして火入れが済んだ酒は一定期間タンクで貯蔵され、熟成させたうえで瓶詰めされます。
このように、日本酒は搾ったあとにもいくつもの工程を経て、ようやく製品として完成します。それぞれの酒蔵が持つこだわりや技術が凝縮された工程であり、最後まで丁寧に管理された日本酒こそが、私たちの元へ届けられるのです。
火入れと貯蔵で品質を守る方法
火入れと貯蔵は、日本酒の品質を安定させるために欠かせない工程です。これらは、長期保存に耐えうる酒質を確保し、飲み手にとって安心して楽しめる日本酒を提供するために行われます。
火入れとは、完成した日本酒をおよそ60〜65℃に加熱し、酒中に残る酵素や菌を失活させる処理のことです。これにより、瓶内での再発酵や味の変化、腐敗を防ぐことができます。特に「日落ち菌」と呼ばれる乳酸菌の一種が繁殖すると、酒が白濁し風味が損なわれることがあるため、火入れによる殺菌処理は極めて重要です。
多くの日本酒では、火入れを2回行います。1回目は搾り直後に行われ、2回目は瓶詰め前に実施されるのが一般的です。これによって、流通や保存の過程での品質変化を最小限に抑えることができます。ただし、生酒や生貯蔵酒など一部の種類では、火入れの回数を減らしたり、行わなかったりすることで、よりフレッシュな風味を楽しめるように設計されています。
次に貯蔵についてです。火入れされた日本酒は、一定期間タンク内で貯蔵され、熟成が進みます。この熟成期間により、酒の角が取れてまろやかになり、風味のバランスが整います。貯蔵期間は酒の種類によって異なり、軽やかなタイプであれば短期間、旨味を引き出すタイプであれば半年以上寝かせることもあります。
ただし、貯蔵には温度や光の管理が必要です。高温や直射日光にさらされると風味が劣化する恐れがあるため、冷暗所での保管が基本となります。飲み手としても、開栓後は冷蔵庫での保存を心がけることで、味わいを長く楽しむことができます。
火入れと貯蔵は、日本酒を単なる「生もの」ではなく、安定した「製品」として世に送り出すための要です。これらの工程があるからこそ、全国の飲み手に均一な品質の酒が届けられているのです。
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今回の記事では、日本酒の作り方について発酵や微生物の働き、上槽から火入れまでの流れなどを解説してきました。日本酒造りは多くの工程が組み合わさっており、その一つひとつに深い意味と工夫が込められています。
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日本酒 作り方の基礎がわかる総まとめ
日本酒の発酵は糖化とアルコール発酵が同時に進む「並行複発酵」方式である
麹菌は米のデンプンを糖に変える重要な役割を持つ
酵母は糖をアルコールと炭酸ガスに変えて酒の風味を生み出す
酵母の種類によって香りや味わいが大きく異なる
発酵温度は15℃前後に管理され、香りや味のバランスに影響する
酒母では酵母を安定して育てるための環境が整えられる
乳酸菌は酒母を酸性に保ち、雑菌の繁殖を防ぐ役割を持つ
生酛系や山廃系は乳酸菌を自然に繁殖させるため時間がかかる
日本酒造りには約2〜4ヶ月ほどの期間が必要とされる
上槽では発酵を終えたもろみを搾って酒と酒粕に分ける
袋吊りや自動圧搾機など搾り方によって酒質が変わる
濾過により酒中の微細な固形物や酵母を除去して透明度を高める
火入れは60〜65℃で行う加熱殺菌処理であり品質保持に不可欠
貯蔵によって酒の角が取れ、まろやかで安定した味に整う
火入れや貯蔵を経て瓶詰めされることで製品として完成する
